SENDAI CORE COMPANY ~仙台市 地域中核企業~

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地域貢献 人材 2025.04.07

使命感を持って地域課題に挑み、大きなうねりを起こす

株式会社ユーメディア 代表取締役社長 今野均

その他の業種

仙台「四方よし」大賞

2024年度仙台「四方よし」企業表彰で大賞に輝いた株式会社ユーメディアは、さまざまなメディアツールを活用し、プロモーション事業やイベント事業を行うコミュニケーションデザインカンパニーです。仙台市中心部の回遊性を高めるため、地産地消をキーワードに地域と協働で開催している主催事業や、働きやすさと働きがいに焦点を当てた職場環境の整備、「知と経験の多様性」によるダイバーシティ経営の推進に向けた取り組みなどが評価されました。社員の胸には、「すべてにおいてユーメディアらしく」という企業の価値観が刻まれています。

仙台「四方よし」企業優秀賞を経て大賞へ

―はじめに仙台「四方よし」企業大賞を受賞した感想をお聞かせください。

我々がこれまで、仙台・宮城・東北の魅力を発掘して磨き上げ、地域の方と賑わいを創出してきたことや、それを継続している点を評価いただき、とてもうれしく思っています。
働きやすさと働きがいの両立は難しいテーマですが、「ひととちいきのミライをゆたかにする」というパーパス(※)のもと、組織が働く環境を整え、社員一人一人が自己成長に取り組んだ成果だと感じています。
ただ、大切なのはこれからです。今回の受賞は、今後のアクションへの期待が込められていると思いますので、それに応えるべく成長・発展していきたいですね。

※パーパス:企業の存在意義や社会的意義

―2018年度仙台「四方よし」企業表彰では優秀賞を受賞され、そこから現在に至るまでの地域課題への取り組みに対する一貫性と成果の積み増しが、審査委員から高く評価されていましたね。

一過性の、打ち上げ花火のような活動ではなく、アップデートを重ねながら継続して行うからこそ、地域の皆さんとの対話が増え、そこから新たな課題が見えて展開も生まれます。前回の受賞から新たなメンバーも加わりましたが、近年は特に、経営陣と社員が同じ熱量で地域やお客様に向き合い、スケールアップしていると感じます。

社員も、取り組む事業も、「ユーメディアらしい」と言われることが増えてきたと今野社長。「当社らしさを言葉で表現するのは難しいのですが、社員一人ひとりがパーパスを体現してくれているのだと感じます」。

仙台市中心部を活性化させ、地域力の底上げに貢献

―グループのクレド(※)に「ちいきのミライ、わたしたちから」とあるように、御社の事業の中心には常に「地域」があります。御社はどのように地域と向き合っているのでしょうか。

※クレド:企業全体の従業員が心がける信条や行動指針

仙台・宮城が元気であればこそ、私たちはさまざまな事業にチャレンジできます。地域の課題はたくさんありますが、誰かがまちを元気にしてくれるまで待つという受け身の姿勢ではなく、私たちが積極的に課題を解決する存在でありたい。当社ができることだけに収まらず、地域の企業や商店街などとも連携しながら、近隣にいい影響をもたらすような広がりのある事業を目指しています。その典型となる取り組みが当社の3つの主催事業(仙台オクトーバーフェスト、バル仙台、仙臺横丁フェス)です。

―ドイツビールと東北の食を融合させた「仙台オクトーバーフェスト」は、仙台の秋の風物詩として定着しています。東北のワイナリーが集う「バル仙台」や、仙台の横丁文化に触れられる「仙臺横丁フェス」も、回を重ねるごとに盛り上がりを見せていますね。

私たちは仙台市中心部の回遊性に課題を感じていました。そこで、仙台駅周辺に比べて求心力が乏しく、通行量が下がる勾当台エリアで新規のイベントを開催し、同エリアの価値向上と賑わいづくりを図ろうと考えました。その先駆けとして、2006年に開催したのが、初の主催イベントとなる仙台オクトーバーフェストです。最近では、会場内にとどまらず、入場リストバンドを提示すると連携している飲食店でも特典が得られるなど、新たな展開も生まれています。
バル仙台は、普段接点が少なかった「ワイナリー」と「消費者」を直接つなぐきっかけづくりになっており、横丁フェスは仙台が誇る横丁文化の伝承や、イベント後の来店促進にもつながるなど、賑わい創出といった目的以外にもさまざまな効果があります。どのイベントも、毎回お客様や出店者、地域の方の声を聞き、反省・改善を繰り返しながら、皆さんの期待を超えた「次」を目指してアップデートしています。

2025年で開催18回目を迎える「仙台オクトーバーフェスト」。仙台の秋の風物詩として定着してきた。

―主催イベントに関しては、新型コロナウイルスという試練もありましたが、どのように乗り越えたのでしょうか。

特にイベント事業に深く関わっているメンバーは、コロナ禍でこれまでの経験を活かせない日々を送り、今後への不安でいっぱいだったと思います。しかし、人が心豊かに生きるためには、直接顔を合わせるリアルな交流は不可欠です。そのため、コロナ禍の早い段階で「イベント事業を必ず復活させよう」と全社員にメッセージを送りました。「仙台・宮城・東北の良さを実感できるイベントを必ず開催するんだ」という強い意志があったからこそ、諦めず乗り越えられたと思います。

―東日本大震災の時の実体験がコロナ禍でも生かされたのでしょうか。

2011年の開催を決めた当時、被災地ではまだ大変な思いをされている方が多く、我々も先行きが見通せない中で、アルコールを提供するイベントを開催していいのかとても悩みました。難しい判断を迫られましたが、私たちが一歩踏み出すことで前に進める人もいるのではないか、そこから前向きで大きなうねりにつながるのではないかと開催を決めたのです。開催した結果、地域の皆さんからは好意的な反応が多く、喜んでいただけたことが原体験としてあったので、コロナ禍のときも必ず復活できると信じ再開のために準備をしていました。

コロナ禍の2022年にコーポレートサイトに掲載した、主催事業担当メンバーによるインタビュー。コロナ禍の苦悩と、リアルイベントを必ずアップデートした形で復活させるという思いが語られている。(https://www.u-media.jp/media/magazine/a179

お客様の課題解決方法も常にアップデート

―御社は、印刷会社として創業し、印刷、ウェブ、映像などさまざまなメディアを活用したコミュニケーション事業へと変革を重ねてこられました。その背景についてお聞かせください。

デジタル化が進む現代でも、印刷は心が豊かになるための重要なツールだと思いますし、無くなることはないと思っています。当社では今後も絶対に印刷業を続けるという強い覚悟を持っていますが、時代の変化とともに有益なツールはどんどんアップデートされます。我々は、コミュニケーションデザインカンパニーとして、常に最新トレンドを追わなければいけません。印刷業は大切にしますが、そこに固執することなく、さまざまなメディアを駆使してお客様に最適な提案をすることが何よりも肝要です。そのためのツールを数多く持っていることが当社の強みだと考えています。

「働きやすさ」と「働きがい」の両立を目指す

―御社は早い段階から働き方改革に取り組まれていました。オフィスリニューアルもその一つでしょうか。

2019年のオフィスリニューアルでは、働きやすさに加え、生産性とクリエイティブ性を高めるための環境を全員でつくりました。以前から働き方改革を行ってきたので、全社でオフィスの在り方を考える土壌ができており、社員主導のリニューアルプロジェクトを立ち上げたのです。

―リニューアルにおいて、工夫されたことを教えてください。

例えば、以前のオフィスは、部署ごとにフロアが分かれているためコミュニケーションがとりにくいという課題がありました。それを解決する場所でありリニューアルの象徴となるのが、社屋内で最も大きい会議室です。「パーク」をコンセプトに、人が集う多用途な空間として造ったこの場所は、休憩や作業スペースとしても利用しています。大人数での会議の際は、ここでファシリテーターとひな壇のスタッフが意見交換をして短時間で終了させ、チームの密な話し合いは、オフィス内にあるスタンディングのミーティングスペースなどで効率的に完了させるなど、会議の質も変わりました。自分たちで課題を見出し、解決策を提案・実行する社員の姿勢は、通常の業務にも通じるものがあると思います。

―仙台「四方よし」企業表彰の最終プレゼンでは、「働きやすさ」と「働きがい」の重複した部分に力点を置いていると話されてました。御社にとっての働きがいについて教えてください。

長期的にみると、「働きがい」は働きやすさよりも重要だと思います。当社は働き方改革に取り組む2009年よりも前から、男性も女性も平等で、営業職でも女性がバリバリ活躍できる職場でした。この会社でキャリアを描けるか、ここで自分が望む力を身に付け発揮できるかが、働きがいにつながると考えています。働きやすさを重視すると“やれることのみをやれる範囲でやる”に収まってしまうこともあり、そうすると付けるべき筋肉が付かなくなるように思います。「働きやすさ」と「働きがい」の両方があってこそ価値あるキャリアを描くことができ、そうなることで「成長意欲が高い人たちの集団」になっていくと考えています。

―成長意欲を応援するという意味では、研修にも力を入れていますね。

スキル系の研修よりも、リーダーシップを磨くための選抜研修を重視しています。自分だけの学びで終わらせず周りに展開することも大切にしており、研修から戻ったメンバーが「この感動をみんなと共有したい」と、自主的に勉強会を開催したこともありました。一人の学びが全社に広がっていく、そんな風土も出来上がっていると感じます。

年度末に行われるユーメディアグループの総会「ミライサミット」では、次年度の全社へのメッセージをミライサミットのテーマに落とし込む。そのテーマに紐づくグループワークを全社員で行う。今年は「My Next Stage!」をアウトプット。当時の熱量にいつでも立ち返ることができるよう社内掲示をしている。

クリエイティブな仕事は多様性あってこそ

―御社では、男性・女性といった属性だけでなく「個人のスキルや経験による多様性」も浸透していますね。

当社は女性社員が約4割を占めています。男女問わず、活躍の機会は平等で、子育て中の女性も時短勤務やリモートワークなどを利用して存在感のある仕事をしています。属性というよりも、さまざまな考え方やアンテナの立ち方が違う社員が揃い、意見を出し合って発展することが我々にとっての多様性です。
私たちの活動の舞台である東北も、すべての市町村に個性や良さがあります。自治体の魅力を発掘し磨き上げることを事業とする当社で、多様なスキルと経験を持つ人材が活躍している。そこには何か結びつきがある気がしますね。

仙台「四方よし」企業表彰が行われた「地域未来創造フォーラム」では、ノミネートされた8社がそれぞれプレゼンテーションを行った。ユーメディアのプレゼン資料は、社長と社員がディスカッションして制作。

―大賞受賞企業として、今後の展望をお聞かせください。

めまぐるしい時代の変化を考えると、明日も明後日も同じビジネスモデルで成長を続けられる保証はありません。我々は地域住民や企業を巻き込み、仙台のプレゼンスを高めるための取り組みを率先して行う会社でありたい。地域のお客様の課題を解決するという芯の部分は変えず、手法を変化させながら、ユーメディアらしい「伴走型」で地域を元気にしていきたいです。当社には、パーパスやクレドを理解し、発展的なチャレンジを続ける社員が集まっています。地域の未来を私たちからより良く変化させていけるよう、常に当社の「四方よし」をアップデートしていきたいと思います。

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業種
その他の業種
住所
宮城県仙台市若林区土樋103番地
TEL
022-224-5151(代表)
HP

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