SENDAI CORE COMPANY ~仙台市 地域中核企業~

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地域貢献 2025.03.27

ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ

サツドラホールディングス株式会社 代表取締役社長CEO 富山浩樹

卸売業・小売業

北海道を中心にドラッグストアや調剤薬局を約200店舗運営し、地域マーケティングやPOS(販売管理)開発事業、スタートアップ企業への支援などを展開するサツドラホールディングス。過疎化と人口減少が加速する課題先進地域である北海道を地盤とする企業として、『ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ』というビジョンのもと、自治体や様々な企業と連携した取り組みを強化しています。道民に広く浸透する地域共通ポイントカード「EZOCA(エゾカ)」を柱とした取り組みや、北海道の活性化を目的としたインキュベーションセンター「EZOHUB(エゾハブ)」の可能性など、ビジネスモデル創出とその未来について伺いました。

人口減少という課題先進地域発のビジネス

―「サツドラ」は北海道民なら誰もが知るほど浸透したドラッグストアですね。近年は『ドラッグストアビジネスから地域コネクティッドビジネスへ』というビジョンを掲げ、より地域に密着したビジネスモデルの展開で注目されています。事業の特徴をお伺いします。

 弊社は北海道を中心にドラッグストアや調剤薬局を約200店舗運営し、地域マーケティングやPOS開発事業、スタートアップ企業への支援なども展開しています。

―ドラックストアの運営にあたっては、実店舗を活用した顧客体験を重視しているとお伺いしました。

 はい。サツドラでは、週に一度は来店したくなる「ウィークリーストア」としての店舗づくりをめざし、日常的に購入いただける生鮮食品・総菜・冷凍食品などを豊富にラインナップしています。提供するのは商品だけではありません。地域の方が集う場となってほしいと願って店舗内にイートインなどに利用できるフリースペースを設置したり、店舗によっては子どもを対象としたプログラミング教室などを開催できるイベントスペースを設置していたりもします。これらは競合他社にはない独自の価値提案です。

―「ウィークリーストア」としての店舗づくりを進める中で、御社ではAIを活用したデータ分析にも取り組まれているとお伺いしました。

 弊社では本社に併設している店舗を実証実験の場としており、売り場の最前線での課題でもあるお客さまの動線を、AI機能搭載のカメラを用いてデータ化する取組を行っています。映像解析分野で日本を代表する企業、AWL社との協働で購買行動分析を行い、よりお客さまのニーズに沿った商品展開に結びつけています。
 また、サイバーエージェント社と共同開発したサツドラ公式アプリを活用して、オンラインの販売促進と売り場のデジタルサイネージなどとも連動させ、リアルな店舗での購買活動を融合させるマーケティング施策も展開しています。

オンラインの販売促進とリアルな店舗での購買活動を融合
サツドラ北8条店では天井から吊り下げられた約80台のAIカメラにより、顧客の購買行動を分析

―「地域」に焦点を当てた事業展開へと舵を切ったのは2019年頃だそうですが、そこにはどんな背景があるのでしょうか。

 何といっても北海道全域が抱える人口減少という社会問題と、それに対する危機感がありました。一般的に人口が5,000人に満たない自治体は生活・医療・福祉関連サービスが単独で維持できないとされています。北海道では2025年に約半数の市町村の人口が5,000人を下回ると予測されていました。北海道は全国より10年早く人口減少が進んだ課題先進地域。まさに喫緊の課題です。
 人口減少は全産業に影響を及ぼします。もちろんドラッグストアも例外ではありません。変化しなければ生き残れない。モノを売るだけのビジネスから【モノ×サービスを提供する小売】へと変わっていく必要があるのです。企業として存続する鍵は、地域に関わるヒト、モノ、コトをつなぎ、未来を豊かにする「地域コネクティッドビジネス」へ進化し、地域の成長に繋げていくことと考えています。

写真は安平早来店。

 人口減少という社会課題の先進地域として、北海道発の課題解決モデルを提示することに大きな成長機会が存在します。さらにそれを道外・海外への展開につなげれば、地域貢献のみならず社会を変革する取り組みが実現できる。近年は現役世代の社会貢献意識が高まるなど、消費者の価値観は明らかに変化しています。それに伴い企業にも経済的利益と社会的価値の両立が求められるのです。私たちは地域に深くコミットすることで経済的成長と地域における価値向上の両立を目指しています。

「EZOCA」が築く地域コネクティッドビジネスの未来

―御社の発行するショッピングカード「EZOCA」を活用したサービスは、地域コネクティッドビジネスを象徴するものですね。まずは道内の普及率が71%にも上るという「EZOCA」について教えてください。

 「EZOCA」は道民の2.5人に1人が所有する共通ポイントカードです。一般的に小売店のポイントカードは利用がその店、あるいは自社のみに限られるため、利用者はおのずとカードを複数持ち歩くことになります。その点、「EZOCA」は1枚のカード、1つのIDによって買い物だけでなく多様な場面で活用できるメリットがあります。そんな使い勝手のよさが普及へとつながりました。

―「EZOCA」は御社の事業にとって重要な役割を担っているとお伺いしました。

 「EZOCA」を利用して、購入履歴、購買行動などのビッグデータを各種マーケティングに活用し、地域コネクティッドビジネスのモデルづくりに役立てています。
 例えば「コンサドーレEZOCA」など地元のスポーツチームとコラボしたEZOCAは、利用者の購入金額の0.5%をチームに還元する仕組みです。こうしたコラボ系EZOCAの利用者は、通常のEZOCA利用者と比べて消費金額が多い傾向があります。自分の購買行動がチームの強化に直結する仕組みが、ファン層から強い支持を得ているのです。

EZOCA(通常版)
コンサドーレEZOCA

―江差町と包括連携協定を締結し、まちづくりや住民の日常生活と密接に結びついた事業も注目されています。この連携のテーマとして「まちづくりや地域の振興、発展に関すること」などが設定されています。

 江差町と包括連携協定を結んだのはコロナ禍の2020年3月です。人口7000人弱の江差町が抱える課題に沿ってテーマを設定し、持続可能な社会を目指して具体的に実行に移しました。いわば官民連携による地域共創です。
 中心となったのは町オリジナルの「江差EZOCA」の導入です。カードの所有率は人口比109%(町外会員も含む/2024年10月末現在)。全道のサツドラ店舗でこのカードを使って買い物した場合に、購入金額の0.2%を江差町に還元するしくみを作っただけでなく、町内の商店や飲食店などの加盟店で利用を促進しました。江差町に寄付された還元金は地域イベントの開催や健康診断の受診促進の原資となります。2024年の還元額は約100万円。地域経済の循環を促進し、社会課題解決を通してまちづくりに貢献しています。

江差EZOCA

 また、移動手段の問題の解決のため、2024年8月に実用化され運用を始めた交通サービス「江差マース」も好評です。これはEZOCAのIDを使ったオンデマンド配車システムで、町民は事前に利用時間と場所をLINEで予約して車に乗降できます。EZOCAの機能を活用して移動と買い物のデータを掛け合わせた分析もでき、「移動×買物」を軸としたサービスの構築も可能となります。
 そのほか、高齢者向けのスマホ教室やオンラインフィットネス講座、管理栄養士による健康相談会などを実施し、住民のDX化や健康促進に寄与しました。また、サツドラ社員が町内えびす浜の清掃を行ったり、化粧品担当者が美容セミナーを開催するなど、町民とサツドラ社員によるコミュニティの場も創出しています。

―江差町との包括連携協定について、行政や住民のみなさんからの評価や反応はいかがでしょう。

 江差町のケースはさまざまな角度からメディアで紹介されました。全国の自治体から弊社や町に問合せが相次いだほか、現地を視察した自治体もあったと聞いています。そんな反響を聞くと、あらためて方向性に間違いはなかったと実感しました。
 「江差モデル」のような自治体と連携した取組みはいま、他地域へも展開されています。一例が人口約15,000人の当別町です。サツドラ当別太美店内に町の西当別支所を開設し、転出入手続きや住民票交付などの行政サービスが店舗内でできるようにしています。弊社は店舗内の一部を行政サービスの拠点として提供することで町から賃料を得ており、支所に来所した方々が店舗に立ち寄って買い物をすれば売上・利益を得ることができます。一方、町にとっては単独で支所を開設する場合と比較して庁舎建設費用などを大幅に削減でき、買い物拠点と併設することで、住民の皆さんの利便性が向上しました。町長からは「町、企業、住民にメリットのある三方よしの取り組み」と評価いただきました。

サツドラ当別太美店と同じ建物に入る当別町役場西当別支所

「EZOHUB」という場から始まるビジネス

―もうひとつの特徴的な取組みが、店舗に地域のヒト・モノ・コト・チエをつなぐ場という新たな機能を備えた共創型ワークスペース「EZOHUB」の展開ですね。

 札幌と東京の2か所に開設したEZOHUBは、北海道の活性化を目的としたリージョナルインキュベーションセンターです。大企業、スタートアップ、自治体、投資家、銀行、プロフェッショナルファームなど、弊社のビジョンに共感いただいた皆さまと、その強みを活かしながら新たな価値を生み出す場を創りたいという想いから生まれた施設であり、テナント企業のオフィスも備えています。「EZOHUB TOKYO」については、北海道と日本をつなぐ「出島」として2024年5月にオープンしました。特定の地域の活性化を企図したこうした拠点は全国でも類を見ません。
 会員はWi-Fi完備のコワーキングスペースや大小会議室、イベントスペースを格安で利用でき、多目的ラウンジにある膨大な書籍の閲覧も自由。ここに行けば北海道にまつわるヒト・モノ・コトの情報すべてに触れることができ、さまざまなコミュニティと交流できる――。そんな場になることを願っています。

―北海道に関わる人や情報が集まり、新たなつながりが生まれる場を目指されているとのことですが、実際にどのような交流やイノベーションが生まれていますか。

 現在では東京・札幌あわせて90上の自治体や企業、個人が会員として参画し、道内外を問わず多様な自治体、企業、教育機関がワークプレイスやイベント会場として利用しています。また、テナント企業16社は弊社とさまざまな分野で協業を行っています。特に店舗の販促や映像プロモーションを手掛けるメディコム社や、先ほど述べたサイバーエージェント社、AWL社との協業はすでに大きな実績をあげています。今後もそれぞれのステークホルダーの役に立てるよう場の価値を最大化し、賛同してくれるパートナーを広く募集していきます。

札幌のHUBSPACE
EZOHUB SAPPOROで開催された公開イベント
東京にあるEZOHUB TOKYO
EZOHUB TOKYOでの「懇親ベント」の様子

地域を深く知り、住民の理解を得る。それがスタート

―地域密着型のビジネス展開において、もっとも重要な点は何だとお考えですか。

 どんな業種、どんな地域にも共通するのが、取り組みを深めるには住民の皆さんの理解や協力を得ることが不可欠であるということでしょう。弊社の地域コネクティッドビジネスは数多くの道民が保有する地域共通ポイントカードを取扱う事業主という側面と、地域住民の健康面に直結するドラッグストアという側面があり、地域の経済や一人ひとりの健康に大きく関わります。そうした責任を自覚するとともに、多種多様な優秀な人材を採用し、自社の経営資源を活かしながらサステナブルな社会の構築に努め、北海道だけでなく日本の未来づくりに向け貢献していきたいと考えています。

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企業情報

サツドラホールディングス株式会社

ドラッグストア・調剤、卸・商品開発、地域マーケティング、教育関連、エネルギー、POSシステム開発

業種
卸売業・小売業
住所
北海道札幌市東区北8条東4丁目1番20号
TEL
011-788-5166(代)
HP

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